村上の井戸

村上の井戸

鴎島の入口、石段を少し登って青坂家の裏をのぞくと、古くなって見えにくくなったが、かすかに昔の名残を留めた井戸があります。
「村上の井戸」と俗称されるこの井戸は、明治9年5月に江差の問屋、村上三郎右エ門の掘った井戸であります。
それまでは江差に入港する北前船にとって何よりの苦労は水の確保でした。島に水がなかったため、飲料水の補給はすべて対岸の町から伝馬船で運ばなければならず大変な苦労を強いられた。その難儀を何とかして救済しようとして三郎右エ門は鴎島に井戸を掘ることを計画し、役所の許可を得て掘削を始めました。予想通り仲々水脈に突き当らず、計画の変更、長い時間、莫大なお金をつぎこんで、苦労に苦労を重ねた末にようやく堀り当てた井戸でした。これによって北前船の受けた便宜は大変なもので、江差の繁栄を支えた大きな事業の成功でした。
北前船飲用井戸 井戸のあるそばの崖の中腹に碑文がはめこまれています。

明治9年夏5月請
官穿井泉水極清冷
因公焉
村上三郎右エ門
石工 清五郎

昭和57年には、鴎島東側にある北前船保船柱及び同跡20ヶ所と共に、江差町文化財の指定を受けました。

「民話・伝説・史話 -江差百話-」より

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